さてウィリアム・ホガース、複数の絵を並べて、更にその
「関係性」を読ませようという試みが、その作品
『ことの前後(Before and After)』に読み取れる。
もうワンセットあるんだけど、そっちは図版が見つからなかったのでこれでご勘弁を。この色刷りを事前広告として使い、あとで白黒の版画が出るという仕組み。
ただ、肝心の版画では、一枚一枚を商品と仕立てるため、内部に書き込まれた情報量が多くなり、それをおっかけていくと、どうしてもコマ同士の関連性は弱くなると。
その点テプフェールは違って、ものすごく簡単な絵で、関係性のみを読ませるような描き方がなされているという。しかも本でいきなり書き下ろしというフォーマットなんだってね。
そしてその描き方も、
「タテ線」で区切ってあるだけ。つい
「コマ」っていうと、四角形の形状を想像してしまうけれど、これで十分成立するのだという驚き。
もっと驚いたのは、あのロートレックがマンガを描いていた(!)ということ。テプフェールの作品は相当広い影響を及ぼしたようで、ロートレックもラクガキ風に線で区切られた絵を描いてるんだよね。
実際、マンガ家の生理として、区切っていくうちにマンガになるのだという。佐々木氏は編集者だから、目の前であるマンガ家がこういう下書きをしたんですよ――と図解してくれたのが、島本和彦氏(笑)。
打ち合わせの時に
「こうだよ!」とザクザク割っていったページが、クリックすると完成図が出てきて、それがまた
『無謀キャプテン』であるという(笑)。
言ってしまえば
「成り行き主義」で、実際、テプフェールはまさにそんな感じなんだと。この辺をはっきり
「体感」できるのは、編集者である佐々木氏だからこそという感じがする。
そうした成り行き主義は、映画論とも一脈通じるらしいね。ドゥルーズが映画論の中で、映画には
「et」しかないんだという。英語でいう
「and」ですな。
メビウス氏も、シンポジウムの際に、やはり絵で書き進めることでこうした説明をされていたから、ふっとそのことを思い出したり。
次回はこうした行き当たりばったり主義から、いよいよ
『トリストラム・シャンディ』の登場!