一部で話題になっている人文映画
『哲学への権利』が、勁草書房から書籍化されたそうですな(DVDつき)
上映会にも行ったし、その後の討論会も参加したんだけど、今回の書籍では、その冒頭がスゴイ。
監督の西山氏はフランス哲学がご専門だそうだけれど、その専門を極める大学(研究)という世界への憎悪、それにさいなまれていた時代のことが痛切に語られる。
これがまた、八つ当たりの怒りでは全然ないところがかえってやりきれない。身に覚えがあるというか、こうした問題意識は、人文に関わる人は誰しもが切々と感じているところだろう。
くだんの映画上映会後の討論でも、かなり白熱した議論となった。半ばケンカを吹っかけるような質問をする来場者もいたりして、そんな野暮なとは思いつつも、そういう質問が出るのはなぜか――という空気が、先の序文に共通している。
ただ、今回の映画でびっくりしたのは、なにより
「人文の研究が『映画』になる」ということで、映画という手法が
「アリ」だとは思わなかったこと。
新人文の鬼たるバーバラ・スタフォードも、インタレーション・アートなどにどしどし言及しているし、この手法自体が発見という感じだったなー。