調べたいことあって、後期の
『ドラゴンボール』を手にすると、色々と衝撃が走る。まず、当時連載で読んでいたはずなのに、ものの見事に
「読んだ」という記憶がない。
だからほとんど、新作を読んでいる気分。当時、
「前ほど面白くないや」的なことを考えていたはずだけれど、いま読むと、これはこれで十分すぎるほど面白いよ――と、当時の自分に言って聞かせたくなる。
あとは何より画力にぶったまげる。スクリーントーン一切なしだもの。ペンとインクだけでここまで描けるのか!と、感激のしっぱなし。
線でここまできちっと描けるのか、背景も線だけで空間を感じる、気持ちのいいデフォルメ――などなど、感心したところを数え上げていけばキリがない。
惜しむらくは、カラーページが白黒になっちゃってるので、それを見たい!ということかな。きっと画集が出てるんじゃないかと思うんだけれど――と思ったら、やっぱり出ていた。
『鳥山明 The World Special』というもの。
以前、マンガ批評に関心を持ち始めた頃、いしかわじゅん氏の本を読んでいたら、鳥山明氏の絵の上手さを解説されていたな。
ただそのときは、こっちも絵を描いていたわけじゃないから、
「ご高説を伺う」という態度だったけれど、多少とも絵の世界に踏み込んだ現在、
「ああ、いしかわさんが言っていたことはこうであったか」と、皮膚感覚で分かるようになった。
でもこれ、鳥山明氏の登場をリアルタイムで感じていたマンガ家や絵描きは、みなビックリしたのではないかなぁ。
その当時に戻ることはできないけれど、どんな衝撃があったのか、聞いてみたいところ。