以前から気になっていたトーマス・マン
『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』(光文社古典新訳文庫)を読み始める。予想していた通り、これは面白い! まだ20ページくらいだけど。

自分は種村季弘氏の良い読者ではないながら、やはり
「詐欺師」というテーマを教えてもらったのが大きかった。
タカヤマ御大との対談でも、近代経済と詐欺は表裏一体の関係で――とおっしゃっていて、実際に調べ始めると、確かにそうなんだよね。経済だけを勉強しようと思うと大変だけど、詐欺という入り口があると、とたんによく分かるというか。

そうした関心から、トーマス・マンが詐欺師小説を書いているというのは知っていたんだけど、訳文が古いし、自分のドイツ語力では読めそうにないから、この新訳にかなり期待していた。
で、期待を裏切らないオモシロさ。この一年ばかり
「名著運」(*そんな言葉があるかは知らない)に恵まれ、良い作品に次々と当たるけど、小説では久しぶりだなー。

文化史のテクストとしても興味深いし、これから読み進めるのが楽しみだ。
ちなみに、
「詐欺」に引っかかるかどうかは、
「正直」がポイントなんだって。正直な人は絶対に引っかからず(!)、嘘をついている人であれば、年齢・学歴・性別・門地家柄は一切関係なく、100パーセント引っかかるのだとか。

(そうした点を解説したこの『詐欺師入門』はなかなかオモシロかった。辞書のように項目ごとに執筆されているけど、やはり上記の解説は読んで驚いた。
人を騙せてると思ってる人ほど、自分以上の人間[詐欺師]に手もなく騙される由。詐欺研究は経済学としても魅力的な分野。ただ「詐欺」という言葉つきが良くないからなぁ)