世界名作劇場
「ロミオの青い空」を見終わったけれども(傑作!)、最終回直前、医師であるカセラ博士の家に、世界中の珍奇なものを集めた部屋、
Wunderkammer(ヴンダーカンマー)があるので笑ってしまった。フランス語では
Cabinet de curieux(キャビネ・ド・キュリュー)だけれども、よくよく考えれば、20世紀まで
科学者(scientist)という言葉はなかったので、それまでは
博物学者(natural historian)という言い方しかなかった。時代考証はちゃんとできてる。
それ以外にも、フランスの啓蒙思想家
ヴォルテール(Voltaire)だとかアメリカ文学の
「白鯨(Moby-dick)」が出てきたりして、さすがは英文学の「小公女セーラ」をやった世界名作劇場だけあって、
啓蒙(enlightenment)意識満載。「白鯨」は読んだけれども残念ながらまるでピンとこなかったなぁ。
18世紀から20世紀にかけて、
博物学というより
「ドーダこんなものがある」というおかしな文化が
「科学」という風に
「分類」されていく過程については、
博覧強記の高山宏(たかやまひろし)氏がしゃべりたおした
「奇想天外英文学講義」(講談社選書メチエ)という小さな大著でオモシロおかしく語られている。基本的に
西洋近代文化はこの一冊読めば全OK。中世以降が知りたい方は
阿部謹也氏を読めばよし。
それはそうとバーバラ・マリア・スタフォード「ヴィジュアル・アナロジー」を訳したくってしょうがない。古今東西の学識を無尽蔵に溢れる造語を駆使して珍奇な図版とともに筆を進めるスタフォード女史のエネルギーをぜひ自分の手で日本語にしてみたい、という気持ちがうずうずしてくる。それもあるけれど、一度日本語にしてみないと分からない、っていうのもあるんだけれどね。学訳一如、勉訳連環をとなえる高山宏氏のごとく、これ、一冊訳すだけで無茶無茶勉強になりそう。やはりやるべきか。