最近は遅々たる歩みで古文の勉強をしているせいか、古書店に行って岩波の黄版を見るのがブームとなったけど、今日購入した
『お伽草紙』が大ヒット。
その中に収録されている
『物くさ太郎』がとにかくすごい。江戸時代にこうしたナンセンス文学が成立していることに感激する。
もともと、前田真宏(まひろ)さんがご自身のブログにてさらっとものぐさ太郎をネタにしたマンガを描いてらして、それがずーっと印象に残っていたんだけど、いやー、原文の面白さは想像以上ですなー。
なにもしたくないものぐさ太郎がなんのかんので都に上り、いよいよ帰る段になって嫁さんがいないのは何とも寂しい、どうにか娶る方法はないかというので、それなら辻取(つじ)という方法があるよと宿屋の主人に教えられる。
それで街道に立って嫁取りをするのだけど、寝転がるばかりのものぐさ太郎はろくすっぽ風呂にも入ってないから汚いのなんの、みんなよけて通るところ、ひとりの女房と下女が現れる。
女房是を御覧じて、供の下女を近づけて、「あれは何ぞ」と問ひ給へば、「人にて候」と申しければ、あな恐ろしや、あのあたりをば、いかにして通るべきぞとて、よけ道して通りける。
(同上、p. 211)
これはもう『ドン・キホーテ』の世界だ!と嬉しくなってしまう。まだ読み進めているところだけれども、これからどんな展開が待っているのか、他のお話も含め、すっげー楽しみ。
(やっぱ新しい分野の勉強はするもんだねぇ。じゃなきゃお伽草紙を読んでみようと、まず思わないもの)