いまや「ファミ通のファミってなんの略?」という話が出るくらい、家庭用ゲームが普及してから時間が経ったーーで、ゲーム関連の研究書がポツポツと見当たるように。
最近はテレビゲームを遊ぶ機会がめっきり減り、むしろアナログゲームとの関わりが増えた結果、自然、「遊ぶってなんなのかなぁ」と思い巡らすことが多くなった。
そうした流れで手に取った『なぜ人はゲームにハマるのか』(SB Creative)、刺激に富む部分と、テレビゲームを語ることの難しさの両面を感じた次第。
そもそものゲームの定義が、ハードの進化と共に為されるという大変に困った状況。これは研究する側としては本当に大変なことだろう。
それでふと思ったのは、文学や美術、音楽の場合、「美的価値の追求」=「きれいであることを目指す」という部分あるけど、ゲームにはそれがないんかな。
アニメーションや映画の場合も、「美的な価値観」から眺められるのが、ゲームの場合「プレー時の面白さ」が大きな軸だから、その辺で先行研究に接続する困難があるのかもしれない。
以前、フランス語の勉強も兼ねてやたらとアチラのラジオをPodcastで聴いていた時期があり、その中で電子書籍の話があった。
テレビゲームは独立した存在だから、それが発展しようと衰退しようと他のジャンルには関係ないけど、「本」というのは昔からあったものだから、それを「電子化」するとなるとものすごい議論になるーー
なるほど!と思ったけど、そのあたり、テレビゲームが鬼っ子というか、独特な存在なのかもしれない。ゲームや遊びの持っている可能性は大きそうだけど、それをどう使ったものやら、というか。
まだまだゲーム学も端緒についたばかりということで、そうした勇気ある一歩を踏み出した誠実な一冊と感じました。
ハードの進化と共に語られるなら、プログラミングの歴史も視野に入れなきゃいけないのかとか、色々と発想が芽吹くなぁ。