(デザイン思考、人間中心設計、PDCAサイクル、リーン開発エトセトラ…それに対して「いやいや、そればっかりじゃないでしょう」というスタンスのデザイン本が登場してきた。ロベルト・ベルガンディさんの『突破するデザイン』は日経BPより税抜き2,000円で発売中)
以前から尊敬してやまない、フランスの経済学者(でいいのかな?)ピエール・ジョセフ・プルードン。マルクスからはクソミソに言われていたけど、いやいや、プルードンさんは大変立派な仕事をされてると思う。
プルードンさんは自分のテーマに「アンチノミー」を据えていた。鉄道が出来たらそれ以前の物流が大打撃を受けるが、それは致し方ない、その鉄道だって次の技術に乗り越えられるのだからーー
そんな次第で、ぶつかり合うことを避けるのでなく、対になって衝突する「アンチノミー」を次々やっていくことこそ人間の生き方である、云々。そんなことを言ってた気がする(^∇^)
それで言うと、デザイン思考や人間中心設計がぐわっと前面に出てきた以上、「いや、そればっかじゃないだろう」というアンチノミーが出てくる。また、出てきた方が良い、というのがプルードン思考( ´ ▽ ` )ノ
まだ読み始めたばかりだけど、アンチノミーたるベルガンディさん、かなり挑戦的な書きぶり。堂々と「PDCAに物申す」と言った雰囲気。
でもちょっと頭をよぎったのは、ベルガンディさん自身、ひょっとして以前は「PDCAサイクル信奉者」だったのかな。そういうことはよくあるから。
製品デザイン研究に新風吹き込んだドナルド・ノーマンさんも、もともとはバリバリの技術者で、「人間(ユーザー)さえいなければうまくいくのに」と批判ばかりしまくっていたそうな。
一時期その考えにドップリだったからこそ、「そればっかりじゃいけない」と反省、それを乗り越えるアンチノミーに向かう面もあるじゃなかろうか。いや、単なる想像なんだけど(^∇^)
原著はMIT Pressだけど、ロベルト、という名前から分かるようにヨーロッパの方のようだ。そういったバックグラウンドがアメリカ西海岸中心の志向に対して「引いた目」を持ってるのかも。
自分としてはデザイン思考や人間中心設計の考え方にも影響は受けてるんだけど(こういうものはアジャイル開発がいいのかな、とかとか)、一方で「どんな時でも万事オーケー」なものではないだろうなぁ、と。
大事なのは、こういうモノの時は「デザイン思考」、こういうモノの時は「意味のイノベーション」みたいに、使い分けができるといいことかな。
いま再読してる『子どもは40000回質問する』でも、「何を質問するか」は人間が頭を使ってやることじゃないの?という問いかけがなされてる。
自分みたいに「意地でも検索しない」というのもどうかと思うので( ´ ▽ ` )ノ、その辺りの切り分けかなぁ。理由が「意地」では仕方ないもの。
そんな次第で、プルードンさん流のアンチノミーが出てきたから、こっから先はヘーゲルさん的なジンテーゼ(統合)が目指すことかもなー。正・反・合!
超どうでもいいけど、アンチノミーとかジンテーゼって、戦隊ヒーローみたいな響き(^∇^)。「哲学戦隊ジンテーゼ!」とか、「悪の首領アンチノミー」とか、全然おかしくない。