現在の少女マンガ界では突出したギャグセンスの、しかし恋愛マンガとしてもきちっとまとめた傑作、
和泉かねよし『そんなんじゃねえよ』(小学館)。
当初は、
島本和彦氏に通じるハイテンションな作風が目立ったが、終盤にかけてみるみる画力をつけ、主人公たち(表紙の三人)よりはむしろ、その母親の描き方が図抜けて素晴らしくなった。
女に年齢などないッ!! 今が花盛り 今が旬!
いつ・いかなる場 誰の挑戦(質問)でも
「いくつに見えるゥ」
で通すべし!!
(和泉かねよし 『そんなんじゃねえよ』 第九巻 p12)
これが母親であるキャラクターのセリフなのだから、相当
「どうかしてる」マンガなのは間違いない。ドラマCDが発売されたとき、
『攻殻機動隊』で
草薙素子(くさなぎもとこ)を演じた
田中敦子氏がキャスティングされたのも頷ける。
しかしこんなムチャクチャなマンガでありながら、下品なところが少しもない――というのがこの作者のインテリジェンスを感じさせる。
『エマ』の
森薫氏、
『百鬼夜行抄』の
今市子氏に続く、
「品」のある作家である。