福田恆存(ふくだつねあり)氏のちらりとした一言がきっかけで光明が見えた推理小説の勉強。卓抜な年表
『情報の歴史』で19世紀から20世紀初頭までをみっちり調べるのはいささか骨が折れる作業だったが、そのおかげで、次に読むべきものが定まった。
まず第一にフレイザーの
『金枝篇』。いわゆる人類学の出発点として有名な書物だが、ユング・フロイトの無意識とフレイザーの仕事には共通する思想があるらしい――これはどうしても読まなくてはいけない。
あとはヴァン・ダインの
『僧正殺人事件』。推理小説といえば必ず名前が出てくるほど有名な作品だけれども、名のみ知るばかりで読んでいなかった。この作品が契機となって、いわゆる推理小説というものに区切りがついたとのこと。
こういう人類学~心理学といった流れを一冊にまとめあげたのがロザリンド・ウィリアムズの
『地下世界』だと、高山宏氏の
『奇想天外英文学講義』に教えてもらった。原書で読まねばならないかと思っていたら、なんと邦訳がある! 版元は平凡社だから、これもまた高山宏さんの差配によるものなのだろうか。
(高山宏氏の著作ではもっとも好きな一冊。語り下ろしなだけに読みやすいし、タカヤマ学のエッセンスが凝縮されていて、なにより安いのがすばらしい)