あらためて初学者のような気分でフランス語をやりはじめて、ふっと、フランス文学に
「ついて」の本はあまり読んだことがないことに気づく。
こっちが直接・間接に学んだ人たちが、みんなおそろしく手広くやっていて、最近ファンになった吉増剛造氏にしても、
「文学そのものがでかい」(柳瀬尚紀)という感じなので、なかなか
「それだけ」を扱った本というものに触れる機会がない。
そんな中で鮮明な印象に残っているのが、平岡篤頼(ひらおかとくよし)氏。
氏の訳書、クロード・シモン
『フランドルへの道』(白水社)を読もうとしたんだけど、これが当時まったく手が出ず、10ページぐらいであっさり挫折。
だから熱心に読んだのは、氏のフランス滞在エッセイとか、その手の評論になるんだけど、今回、あらためて
『パリその日その日』(筑摩書房)を読むと、うーん、やっぱりぐいぐい引き込まれる。
大体こっちは、フランス語の勉強始めようって時に、何を読んだかといったら、みーんなヌーヴォー・ロマンだものね。
ただ、あれは原書を買うのにひどく苦労する。ナタリー・サロートだけはFolioのペーパー版に入っていたからあっさり買えたんだけど、ミシェル・レリス(Michel Leiris)なんて、今でも買えんのかね。
だから当時はどっかから借りて読んだんだよなー。でも、当時は当時で語学力が皆無に近かったから、これは話にならない。
「見た」って感じ。
そういう記憶が平岡氏の文章を通して思い出されてきたので、再販めでたい
『フランドルへの道』を、取り寄せてみようか。
『フィネガンズ』がいけたんだから、こっちもいけんじゃない?