先日の日経新聞書評欄を読み、吉祥寺の伝説の喫茶店
『もか』のマスターが、先年物故されている由を知る。
東京で用事がある度、吉祥寺のお店まで足を伸ばしたものの、やってねぇなーと思うことが数度あったので、ああ、そういう事情があったのか――と。
それを考えると、ちょうど10年ぐらい前かな? たった一回だったけど、あのコーヒーを飲めたのは本当に幸運だったんだな(その後は豆売りしかしなくなったようだし)。
豆さえちゃんとしたものなら、ある程度以上の修練をつめばそれなりにおいしいのをいれることができるようになる――
ただもう、
『もか』のは、
「おいしい」という尺度より、
「ショック」という感じで、もうコーヒーというものに対する考えがズバーンと変わるぐらい、衝撃的な飲みものだった。
むしろコーヒー好きじゃない人こそ(自分もそうだったし)、あれを飲んで、
「うわっ、なんだこれー!!」と言う風に、目が開けるんじゃないかなー。
そういうある種
「どうかしてる」情熱がないとやってけないお店だったらしく、それを今回、交友のあった嶋中労(しまなかろう)氏が評伝(?)としてまとめたと。
コーヒーの恩人(?)とも言えるお店のことなので、この
『コーヒーの鬼がゆく』(中央公論新社)は、近日中に、ぜひぜひチェックしたい。