先日ふとしたキッカケから名前を聞き、更に別のキッカケから思いがけない回路がつながったので手に取った
『ゼロの使い魔』(MF文庫J)。
たいへん売れている作品だということは知っていたので読んでみると、これが中々オモシロイ。
なるほど、一行目から異世界に行って、更に目の前に女の子(ヒロイン)を配置するのは上手いやり方だな――とか。
あとはハードな文学読みがクスッと笑える仕掛けが随所に施されている。
蛸人魚の名前が
「スキュア」で、呼び出したのが
「キュルケ」と来れば、これは
『オデュッセイア』に登場する
「スキュラとカリュブディス」に、
「魔女キルケー」でしょう。
「ニワトリの巣の上で」――とかの表現も笑ったな。そうするとヒロインの
「ルイズ」は
「ルイス・キャロル」か?
それと平行して、
『ハリー・ポッター』の原書をだーっと読んだんだけれど、こちらは残念なことに、ウケル要素が見つけられないまま読み終えてしまったなー。
『ゼロの使い魔』のあとがきにあった、
「ここではないどこか」というのは、ああ、ファンタジーが人気を博した理由は、どうもこの辺にあるのかな――と。
異世界ファンタジーものでは冠絶する名作、ミヒャエル・エンデの
『はてしない物語』(岩波書店)でも、主人公のバスチアン少年の属性を一言であらわすと、それになるんじゃないか。
(ただあれは、異世界を支える構造というか、その仕掛けがすごくって、最後で涙どばー・笑
これでドイツ語の勉強をやるのに迷いがふっきれたもの。ケストナーがないからしょうがなく――というので取り寄せたんだけどね。それが良かったんだな)