フッフッとした偶然のつながりから手にしたへヴィメタルバンド
『アンヴィル』のドキュメンタリーフィルム、これが泣ける。煽り文句はウソじゃなかった。
84年に来日、以降、このバンド以外は次々とミリオンセラーを記録――しかし奴らは終わっちゃいなかった!みたいな内容なんだけど、とにかく、主演しているお二人の表情が終始すばらしい。
「売れない」といっても、なかなかどうして、これだけの
「顔」を手にする人はいないよ――と、切なくおかしいエピソードの連続に、もう開始20分ぐらいでウルッときてたな。
中盤から後半にかけて、自分の出自を語るところがあって、それで
「なるほど」と腑に落ちるところがあったり。
「へヴィメタルバンド」という言い方をしたけれど、そうした
「括り」は大したことでなくて、
「芸事」に多少なりとも関心を持つ人であれば、胸に訴えるものがあるんではないかと思う。
――なんて、どシリアスに絶賛してみたけど、実際、同作のレヴューはどれも、
「これを茶化しちゃ悪い」という情感が読み取れる好評価ばかりで、観る前は
「ホントかよ?!」と思っていたんだけど、
「うわっ! ホントだった!」と。
非常に印象的だったのは、自分個人としてはあまり得意でない、日本の某有名駅前が、こんなにも美しく見えるのか!ということ。
やっぱり、撮影する人の目線によって、これだけキレイな街並みに見えるんだ!と、そのことにも感激。
以前、夏目房之介氏の
『おじさん入門』(イースト・プレス)で読み知った、
「東京の街のほうがずっと『かわいい』」(同上)というのは、こういうことなんだろうな。