勉強のために――というのはしゃらくさいけれど、ずっと読み進めてきたヴィクトル・ユゴー
『レ・ミゼラブル』を、ようやく読了。最後は圧巻の一言。
申し訳ないことに、今の今までフランス語の作品にさしたる感銘を受けずにきたけれど、ようやく心を奪われるほどの作品が見つかったという心持ち。
物語の最後の数十ページは、なんというか、外国語を読んでる感じじゃなかったな。そしてまた、そういう体験自体がジョイス、エンデ以降、絶えてなかったので、読み終わってしばらく陶然としていた。
これで、ジョイス(英語)、エンデ(ドイツ語)、ユゴー(フランス語)の三つで三角形になった。
あとはこれで、現代的なフランス語は書かなくて良い!という踏ん切りがついたな。
このところ、現代風のフランス語のスタイルに
「あわせて」書こうとして四苦八苦していたけれども、それはもういいと。
だってねえ、現代風の文章を読みやすいともいい文章とも思えなくて、しかしユゴーにはこれだけの感銘を受けたのだから、自分で書く分には、ユゴー式で押し通すことに決めた。
ユゴー式の文章で思ったけれど、これ、分量は別にして、どうやって訳すのだろう?という箇所がいっぱいあったな。覚えてるところでいうと、ファンチーヌの
「Le bon Dieu est bon. Monsieur Madelaine est bon.」
なんか、いったいどう訳されているのかという興味を覚える。読んでる分にはものすごく感動した箇所だったんだけど。あとは幕切れ付近の
「Elle a eu en malheur tout ce que tu as en bonheur. Ce sont les partages de Dieu.」
というところも、どうしたらいいのかと途方にくれる。細かなところでは、TuとVousの使いわけで、ああ、うまいな――と唸る箇所が無数にあったのだけれど、これもムツカシイところ。
それにしても、とかく転変の激しい自分の本棚にあって、
『レ・ミゼラブル』の二冊を取り置いていたのは、間違いではなかったな。ホントに、取っておいて良かった。