「岩窟王」第六巻、なるほど
ユージェニーはこう来たかという内容で、このヒロインであるユージェニーは原作には登場しない(はずの)キャラクターゆえ、少々深読みをしていたら、深読みのしすぎだったようで、きっちり王道の内容に仕上がっていて事の成り行きにホッとするが、監督の
前田真宏(まえだまひろ)氏は、
BSアニメ夜話「ふしぎの海のナディア」(シロクマ注1)の回では、
(演出もされてますよね、というのに答えて)
それがねぇ、厳しかったんですよ。島編は好きだし、やってるうちは楽しかったんですけど、島編が終わってまたシリアスに戻るってときに、テンションをガクーっと変えてやれと、それもナディナが自殺する回とか、エレクトラさんとの確執があらわになるココをやれとか。(前田)
主にダークな回担当。(岡田)
なんででしょうねぇ。見込まれてですかね(笑)。「お前ダークをやれ」(笑)。(前田)
とみずから語っているだけに、油断してはいけない(何がいけないのか)。
左がユージェニー、右が主人公アルベール
そういえば、オペラ座でユージェニーがピアノで弾いているのは
「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番」ですな。ロマンチシズム溢れる曲でこのシーンにぴったりであったけれども
「のだめカンタービレ」(シロクマ注2)といい、やはりクラシックで使いたい曲といえば、コレなのだろうなぁ、といって実はこっちも学生芝居で使おうかと思った時は「尺が長い!」という理由で大カット。まあそりゃそうだわな。そうだわさ。
注1:ふしぎの海のナディア。「トップをねらえ!」で初めてメガホンをとった(といってもアニメーションだからとらないが)庵野秀明のテレビシリーズ監督第二作、その後の庵野作品とのバランス加減で言えば、非常に「ちょうどいい」内容で、シリアスもありながら、随所に挟み込まれるパロディなどの笑いも充実していて、藤津亮太氏のことばを借りれば「フルオープン」。また最終回をきっちり「たたんだ」稀有の作品でもあり、最終回のラストシーンからエンディングに移る手並みはゾクっとくるほど素晴らしい。
注2:のだめカンタービレ。マンガで音楽をやる作品は色々あっても諸手を上げて最高!というものはなかなかなくて、そんな中では最大限まで健闘している作品。扱う音楽が巷間に溢れるロックではなくクラシックというのも大きいようで、ラフマニノフのコンチェルトの場面ではファンとして快哉を叫んだが、その後主人公たちがフランスへ留学してからというものまるで話が動かなくなったのは、フランスへの幻想が強すぎるというより、やはり明治このかた日本にとって海外は「夢の国か、悪魔の国」という両極のイメージしかないようで、ものの見事に、主人公のだめがフランスへ到着した当初は「夢の国」そのものであったのが、すこしたってオーボエ奏者黒木くんがフランスへ来るあたりになると「悪魔の国」のイメージになるというのは、いくらなんでもそれはないよ、というので大いに鼻白んだ次第であるが、何もこの手の勘違いというより、アチラへ行ったところでアチラの生活を何百年としている人間がいてそれはコチラも同じだからアチラもコチラもないということがあまり通じないのは、これも日本の特殊事情というものだろうか。