先日、久しぶりに須賀篤志
『つるた部長はいつも寝不足』(MFコミックス)を読んでいて思ったこと。個展をやって絵が売れたら、その絵はどうなっちゃうんだろう?ということ。
妄想ばかりの美術部部長・鶴田が、
「もっと 楽しく 絵が描きたい・・・!」(同上、第三巻、p. 14)と言っていて、それは非常によく分かる。
ただその先に、いわゆる
「個展」というものがあり、これもまた美術系予備校のマンガである冬目景
『ももんち』にそうしたシーンが登場する。
その後、詳しい方にうかがったら、色々種類はあるものの、個展というのは自費出版に近いものもあり、自分で描いた絵をギャラリーに並べてそれを売る場だということ。
それで気になってしまったのが、描いた絵が売れたら、作者のもとに作品が残らないわけだから、それでいいんだろうか?と思ってしまう。
自分のようなヘボのレベルでも、集中して描けたなぁ――とか、これはどういうわけかうまく塗れたなぁ――なんて愛着があるんだけど、それが手元に残らなくていいんだろうかと。
本だったら、まぁ自筆原稿というものはあるにしても、やはり
「本」という複製物が商品として流通するわけで、同じ絵で勝負のマンガにしても、やはり単行本という形にするものね(原画そのものの価値はさておき)。
そりゃ描いた絵が売れたら嬉しいだろうけど、愛着のあるものが手元から離れていくのが寂しいという感慨はないのかなぁ。
反対に、以前
『アニメ夜話』を見ていたら、
「絵描きは恥かき」というスタンスで、描いた絵を三日後には見たくないという人もいるそうだから、そこは人それぞれなんだろうけれども。
(西尾鉄也氏も、「賞味期限」ということを言っていて、早い時は描いた翌日に来る、つまりもう見られなくなる――ということなんだろう)