高山宏が啓く文化史の三巨頭、オランダ美術史の
スヴェトラーナ・アルパース(Svetlana Alpers)
新歴史学(New-historicism)の
サイモン・シャーマ(Simon Schama)
視覚文化論(Visual Culture Studies)の
バーバラ・マリア・スタフォード(Barbara Maria Stafford)。
この中では再三言及している通り、スタフォードの仕事がもっとも分かりやすく、かつ刺激的。とにかくこの人の基本線は非常にシンプル。
絵(image)が言葉(logos)より劣ったものだという、プラトン以来の執念(しゅうね)き上下層序にケリを入れる。
この
「熱血」にも通ずるエネルギーには圧倒される。正直な話、広い意味での
絵(image)の勉強を始めたのは、この人の
「グッド・ルッキング」を読んでぶっ飛ばされたことに始まるわけで、
「何と何が違う、ということより、何と何が似ているかということにこそエネルギーを注ぐべきだ」という趣旨にも眼からウロコ、そしてそれを
「image/visual」をもってして
「つないで」いく、だからこそスタフォード女史の最新作の副題が
「Consciousness as the art of connecting」となっているわけで、この二重三重にも読み解ける副題をあえて高山宏的に翻訳すれば
「『つなぐ』技術/美術(art)としての良心/意識(consciousness)」とでもなるか。
言語大好き(logophilia)な人にこそ小さな大著
「グッド・ルッキング」は読んでいただきたい。