エンターブレインから発売された九井諒子さんの新刊
『竜のかわいい七つの子』をひとまず読了。デビュー単行本はいまになってもフォローできていないけど(申し訳なし)、こっちを買ったから許してもらおう。
均質な描線や絵柄の印象もあるけど、この人は全体にニヒリズムな作品なんだぁな――とまず感じる。
ニヒリズムには虚無主義というすごい訳語があるけど、そうでなくて、
「ニヒル(Nihil)=無」という言葉そのものの意味。
「なんにもない」がお話の出発点。
「なんにもなくてもとっこだ」という、色川武大さん的なさっぱりとした印象がずっとあって、だから読後感に一切湿っぽさがない。かといってポジティブというんでもないし。すごいあっけらかーんとした雰囲気。
それにはたぶん、一切無駄のない均質な描線で描かれる独特の絵柄も関係してるのかと思う。これ、ボールペンで描いてるのかな? 自分でもボールペン使うから特にそう思うのかもしれない。