(『脳がわかれば心がわかるか』が誘い水になって、ようやくヒュームさんの言わんとするところが掴めた。懐疑論者、無神論者として同時代人の中では冷遇されたそうだけど、ご本人は大変な好人物だったそうな。原書も訳本も多数)
ここ数年で急に関心を持った哲学者デイヴィッド・ヒュームさん。もともとは経済学の方から名前を知ったのだった。
Antoin Murphyさんという、アントインなのかフランス式にアントワンなのか、今もって正確な発音を知らないアチラの経済学者が、『Genesis of the Macro Economics』という小著を出していた。
経済学の主だった理論を考えついたのは、別に経済学者ではなかったよ、ということで、7人くらいの代表選手が取り扱われており、その中にヒュームの名前もあった。
ところが通読してみると、アントイン(orアントワン)さんが一番共感してるのは、どうもこのヒュームらしい、というのが見えてくる。人間的に共感してる、という雰囲気で。
そこからヒュームさんの伝記など見てみると、実際、なかなかの好人物だったらしい。誰も悪く言う人がいない。無神論者という当時としては酷いレッテルを貼られたけど、友人のお母様も当人に会ったら、「あのヒュームさんをまた連れていらっしゃいな」、という歓待ぶり。ふーむ。
ヒュームさんのエッセイ集は買っていたものの、哲学史にドーンとクサビを打ち込んだ『Essays concerning Human Nature』の方は完全スルー状態。タイミングが合わなかったと言うべきか。
ようやく本編を手にしてみると、止せばいいのに、というのが最初から分かっているけど、やるしかないと踏み切ったヒュームさんの決意に大きな感動をおぼえる。
実際、ヒュームさんはかなりの文章家で、ただ読んでも面白い書き物をたくさん残しているので、そういう率直な精神の持ち主が難題に真正面から取り組もう、というのを、バカにはできないな。
この辺りに触れて、なるほど、アントイン(orアントワン)さんが共感したのも頷けると、数年越しで納得。自分もちょっとヒュームさんが好きになってるもの( ´ ▽ ` )ノ
すごいな、ということをした人は多いけど、数百年越しで、「この人は何か人間味があるな」と思わされるのはなかなかない。デカルトさんなんか、発見したことはスゴイと思うけど、ご本人はちょっと御免被りたい^_^
ほっぽりっぱなしだったヒュームさんの雑文集(と言っては失礼か)も、この機会にちゃんと目を通して見たいな。ただモノが18世紀の英語で、多少文法も違うので戸惑うところはあるかなー。