(ピコピコにニガテ意識を持つ人にはぜひぜひオススメしたい、草野真一さんの『メールはなぜ届くのか』。ピコピコ関連本は山ほどあるけど、「入門書」ということでは今までで最高の一冊だった。読み終わって、「なんでピコピコ苦手現象」が2018年にも続いてるのが大きな発見が。講談社ブルーバックスから税込929円で発売中)
ピコピコ武者修行を続けてきたけど、それと並行して関心を持ってたのが「ピコピコリテラシー」の話。
語学と同じで「日常で使う必要ない」から「覚えない(覚えなくていい)」という話をよく聞いたピコピコ界隈。
ところが2018年になって「誰もがピコピコを使うようになった」けれども、「ピコピコリテラシー」がボトムアップした、という話は聞かない。「むしろ下がっている」なんてキビシイことを言う人も。
このブログ主のピコピコリテラシーも怪しいけれども、キカイそのものはこんなに広まったのに、その「使い方」がこんなに広まらないのはなぜなのかな、とは気になっていた。
「ダイナミック主催者設定約束事」を調べる兼ね合いで、草野真一さんの『メールはなぜ届くのか』に出会ったけど、使い方が広まらないはずだと変にナットク。
というのも、ピコピコは「間にドーンと大きな組織が入ってない」のが、「複雑化する」理由みたい。
例えば電話。電話番号さえ分かればとりあえず相手に電話ができる。テレビも、スイッチを入れれば画面が映る。ハガキも、住所を書いて切手を貼れば向こうに届く。
どれも大変シンプルだけど、それは「間にドーンと大きい組織が入ってる」からみたい。
電話なんて、受話器で「プルルルル」という音がするまでにメチャ高度な技術が使われてるけど、それを気にして電話をかける人はいない。
テレビも、周波数帯や電波帯域を知って利用してる人はまずいない。放送は免許事業だとか、法律も色々あるし。郵便だってそうだろう。
そういう裏側の複雑なシステムを知らなくて使えるのは、電話局、放送局、郵便局が「ぜんぶやってくれてる」からだそうですな。
実際、自分も「MIS安格」を使うときに電話について勉強したら、メチャメチャ複雑なシステムの話で頭がパンクしそうになった。
本を一冊読むのに丸1ヶ月かかったので、うわー、こんな複雑なことやってるんだー電話ってーと、ため息が出たくらい。
カンタンに使えるものほど、間のデッカい組織がシステムをガッチリ抑えてるので意識せずに使えるそうな。
ところがことピコピコの場合、本来ならデッカい組織がシステムでガッチリ固めるところを、「ピコピコ1台でぜんぶやる」ようにできてると。
もともと網仕事の世界は「一箇所に情報を集中させちゃったら、そこを狙われた時に危ない。なるべく分散して処理しよう」という発想があった由。
結果、電話局の裏側でやってるような何層ものシステム構造を、ピコピコ1台1台で約束しながらやらなくてはいけない。
紐ingの学習をし始めた時、殆どの参考書が「基礎がないYo!」と嘆いていたけど、それはもうしょうがないと思う。
これから紐ingをやろうって人だってそう言われるくらいだから、いくらキカイ自体が広まっても「その裏側の知識」が広まらないのも道理だなー。
裏を返せば、「本来はナントカ局がぜんぶ統括するような分野が、これだけ広まった」ということの方が稀有なんだろうな。だってねえ、「電話で話すときは配線を自分でやってください」なんて言われたら、こんなに広まらなかったと思う(^∇^)
あとは『メールはなぜ届くのか』を読んで痛感したけど、「紐ing」と「網仕事」は全く別のジャンルだな。
で、ピコピコリテラシーに関するのは「網仕事」の方面なんだな。「紐ing」はやらなくてもいいけど、「網仕事」の全体像が掴めてない方がキツイと思う。でもどっちも「何となく同じもの」として扱われてるのがモンダイか。
もっと厄介なのは、「網仕事」の方が、システム的には複雑だ、っていうことかなー。自分も今回やっと、リンゴ社のピコピコとはまるで関係のない「MAC住所」にどんな意味があるのか分かった。
何にしても、こんな複雑なシステムの話をここまで分かりやすく面白く解説してくれた草野真一さんに脱帽。ちゃんと英語の意味や歴史的背景も教えてくれるので、その点からして違ったなー。超オススメ(^o^)。