マックス・ビアボーム(Max Beerbohm)という知ってる人は皆無に等しい作家がらみで、
「賭博」について調べる必要性が出てきた。バクチ関係の用語は特殊なものが多く、英語で
「stakes」「croupier」「counter」「bank」というのが、日本語の何に相当するのか、知らぬ存ぜぬでは済まされない。
文体については
阿佐田哲也(色川武大)、語彙については
森巣博(もりすひろし)―――これがまあ、見たことも聞いたこともないような言葉が、ズラリ並んでいる。参考のためにいくつか紹介してみよう。
札束(ズク)
元賭金(もとだま)
賭金(こま)
打たれ越す
森巣博氏の文章はオモシロイのだが、残念ながら性に合わず、しかしバクチ打ち―――氏の言い方に倣えば
「賭人(とにん)」―――の考え方が見えたのはありがたかった。なにせこっちはバクチに全く興味がないから、
「カジノ」でなく
「カシノ」が正しいというのも、はじめて知った。
バクチ関係の勉強での、一番大きい収穫はなんといっても
色川武大(いろかわたけひろ)氏の
「再」発見だった。オモシロイ人だというのは前々から知っていたが、
『うらおもて人生録』を読むまでは、ここまでとてつもない大人(うし)とは思っていなかった。すみません。