大好評なのかそうでないのかまったく分からない翻訳の次回シリーズ(
『七人の男』はもちょっと続きます)は、英国の文人批評家
シリル・コナリー(Cyril Connolly)がパリヌラス名義で書いた
『不安な墓場(The Unquiet Grave)』に決定した。
この作品については、
英国のアマゾンに同書書評がアップされているのだが、この
「一読者(a reader)」氏の書評が、簡にして要を得たもので、かつ文章も素晴らしく、これはただものではないと驚いた。そういう
「ただものでない」人が書評するぐらいだから、
『不安な墓場』についての内容は、もう保証ずみと言っていい。
しかしこの
『不安な墓場』―――わざわざ
パリヌラスという伝説上の人物を語り手に設定するだけあって、果たして小説なのか、散文詩なのか、文芸批評なのか、はたまた現代批判の一著なのか―――そういったこともまるで分からない、分類不能の作品。これを教えてくれたのは、今は亡き英文学者の
篠田一士(しのだはじめ)氏であった。
下調べについては鋭意作業中であるが、文体は誰でいくか―――英語はもちろんフランス語やラテン語の引用も多数あることから、これはもう詩人の
西脇順三郎(にしわきじゅんざぶろう)氏でいくほかないのではないか―――というところ。しかし本がないわー。
(この人の『居酒屋の文学論』は、こっちとまったく同じ考え方をする人とはじめて出会うことができた―――ということで、飛び上がるほど嬉しかったのを覚えている。その次に全集で読んだら、まるでそんなことを思わなかったから、なんだったんだろう、あれ)