おい、そこの失敗ヅラ
だれが失敗ヅラだ、コラァ!!
うまい――敵ながら的確な表現だ
(幽遊白書 第十二巻)
いくらテレビを見ないといったって、年末年始の番組編成には寒気すらおぼえるから、
『幽遊白書』のDVDをまとめて借りてきた。しかし、こうしていっぺんに見てみると、本筋がどうこうというより、上記に引用したようなバカバカしいやりとりが印象に残る。
シリアスの合間合間に挟み込まれるアホくさいやりとりが、こちらとしてはオモシロクってしょうがないのだが――いま、こういう演出をやると評判が良くないのだそうだ。
「しらける」とか
「テンションが下がる」といった感想が出てしまうようなのである。
ついこの間までやっていた
『Blood+(ブラッドプラス)』というドシリアスなアニメーションでも、ヒロインの女の子が家族と一緒にヘンな踊りをおどるシーンがあったのだが、それがまた、上記の理由で評判がよくなかったらしい。
有名なところでいうと、
『エヴァンゲリオン』に登場する温泉ペンギンの
「ペンペン」。このキャラクターも
「邪魔だ」とか
「いらない」なんてことになっているとのこと。
ここでは分かりやすくアニメーションについて話をしたけれども、色々なメディアから
「笑い」が消えていっている一因として、そういう視聴者層の受容態度の変化が考えられる――だとすれば寂しい話である。昔から、
「笑う角には福来る」なんていうんだけれどもなぁ。なにもかも
「お笑い」になってしまうと、
「喜劇」好きのこっちとしては、少々ツライものがある。
(図版出典:庵野秀明 『エヴァンゲリオン』 GAINAX)