つまり、古いものをちょっと視点をずらして別の文脈に入れると、とてもおかしくなる。あまりテクストとしては違ってないんだけど、少しいじって新しい文脈に入れたために、読者は二つの文脈を愉しめるのです。
(由良君美 『メタフィクションと脱構築』 p203)
井上ひさし氏との対談で、ずばっと歯切れのいいことを言っている――こういう言葉に接すると、本当に嬉しくなる。
由良君美(ゆらきみよし)――高山宏氏が師事した先生らしい、というので読んでみたら、これが本当にオモシロくて、哲学出身なだけに内容はかなりハードだけれども、なんだろう、痩せた難解に堕さないというのか、
「テツガクしてる」わけでは全然ないあたりに、非常に心ひかれた。
これで高山宏氏との師弟対談でも残っていれば、なにも言うことはなかったのになぁ。