『ピープス氏の秘められた日記』(岩波新書)がむちゃくちゃオモシロイ。題材となっているサミュエル・ピープスの魅力もあるけど、なにより作者である臼田昭氏の筆力が尋常じゃない。新書の中でも、傑作の部類に入るだろう。
これを読んですぐに思い出したのが、ジェイムズ・ボズウェルの
『日記』。ジョンソン博士の伝記を書いて有名になったボズウェルの日記も、18世紀の生活がどういうものだったかを知る上で、たいへんに貴重な資料。
とか言いながら、
「資料だから」と思って買ったわけじゃなく、本当の理由はこの表紙。あんまり素晴らしいので、購入せずにはいられなかった。いわゆる
「表紙買い」というやつ。
今っぽい絵柄なので、さぞや名のあるイラストレーターなのだろう――と思っていたら、これがトマス・ローランドソンという18世紀の画家の手によるものだったので、心底おどろいた。
(『ボディ・クリティシズム』にも、観相学とのかかわりでいくつか図版が出てくる)
18世紀のものは、文章にしろ絵画にしろ、なにかほかの時代とは違う魅力がある。エリザベト・ヴィジェ・ルブランとかローランドソンとか、ちゃんと調べたいんだけど、どっちもあんまり有名じゃないらしくて、参考文献が見つからないのはちょっと悲しい。
(『ルブラン夫人とその娘』)